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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(オ)104号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

本件上告理由は、末尾に添えた書面記載のごとくであつて、これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

抵当権の登記は、その権利を第三者に対抗する要件であるにすぎないから、登記されない抵当権であつても当事者間においては権利実行の要件を備える限り競売法の規定するところに従い抵当権の実行による競売手続を有効に行い得るものである。本件につき原審は、その認定した事実に基づき本件抵当権の設定が有効であつて抵当権者において弁済期に債権の弁済を受けなかつたため抵当権の実行による競売の申立をしたのであるから仮りに本件抵当権設定登記が無効であつたとしてもこれによつて直ちに本件競売手続を無効なものということはできないと判示しているのであつて、その判断には所論のような違法はない。

よつて、本件上告を理由ないものと認め、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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